日頃の仕事や学校で、紙の書類をパソコンで扱うために「文字を打ち直すのが面倒だな…」と感じたことはありませんか? また、PDFで送られてきた資料の中身を編集可能なテキストに変えたいのに、コピペができずイライラした経験はあるかもしれません。こんなときに助けてくれるのが「OCR(Optical Character Recognition / 光学文字認識)」という技術です。OCRを使うと、印刷物や手書きの文字をカメラで撮影したりスキャンしたりした画像から、コンピュータが文字を読み取ってデジタルなテキストに変換してくれます。つまり、紙の文章をデータ化したり、PDFの文字をコピー可能にしたりすることが可能になるのです。しかも現在は、無料(フリー)で使えるOCRソフトがたくさん登場しています。高額な専用機器を買わなくても、パソコンやスマートフォンでサクッと文字を読み込めるのは、ありがたいことですよね。本記事では、AI初心者の方でもわかりやすいよう、なるべく専門用語を避けながら、無料で使えるOCRツール14選をご紹介します。こんな人におすすめ紙の書類を整理したいPDFの文字を編集可能にしたい論文や参考書の一部を引用したいが、文字起こしに時間がかかって困っているスマホで撮った手書きノートをテキスト化してクラウドに保存したいぜひこの記事を参考に、あなたの環境や使い方に合ったフリーOCRツールを見つけてみてください。1. OCRとは?初心者向けにざっくり解説1-1. 画像から文字を読み取る技術「OCR(Optical Character Recognition / 光学文字認識)」とは、カメラやスキャナーで読み込んだ画像の中から文字部分を見つけ出し、それをテキストデータに変換する技術のことです。たとえば、印刷された文書の写真を撮るだけで、その中の文字をコンピュータが「A」「B」「C」などとして理解し、デジタルテキストへ変換できます。1-2. 「OCRで文章をデータ化する」メリット文字を修正・検索できるようになる紙の文章をそのままPDFにしただけでは、検索や編集ができませんが、OCRで認識すると「Ctrl+F(検索)」が使えるデジタル文章になります。再入力の手間を減らせるたとえば、長い論文や会議資料を手で打ち直すよりも、OCRが読み取った結果を修正するほうが断然早いです。文字をコピーして他の文章に引用できるレポート作成やプレゼン資料に引用するときに便利です。2. OCRツールの選び方:初心者が気をつけるポイント日本語対応かどうかOCRによっては英語しか読み取れないものもある。日本語の文章を扱うなら、日本語対応が必須。クラウド型かソフトインストール型かオンラインサービスだと手軽だが、インターネット接続が必要。プライバシーにも注意。インストール型はオフラインでも使えるが、PCの性能や設定が必要。画像の対応形式やPDFサポートPDFを直接読み込めるか、JPEG/PNGなどの画像ファイルから文字を認識できるか手書き文字対応かどうか印刷物だけでなく、手書きも認識できると便利(ただし、誤認識は起こりやすい)無料枠や無料プランの制限無料版ではページ数やファイルサイズが制限される場合が多い使いやすいUIと精度初心者にとっては操作がシンプルか、認識結果の誤字が少ないかがポイント3. おすすめ無料OCRソフト14選ここから、本題の「無料で使えるOCRソフト」を14個紹介します。いずれも日本語対応が可能だったり、簡単に設定できたりするツールですが、細かな機能や制限はそれぞれ違うので、特徴を見比べてみてください。1. Google Drive(OCR機能)特徴クラウド上でPDFや画像をアップロードすると、自動で文字を認識してくれるGoogleアカウントがあれば無料で利用可能日本語含む多言語対応で、精度も比較的高い使い方Google Driveに画像やPDFをアップロードそのファイルを右クリック→「アプリで開く」→「Googleドキュメント」を選択ドキュメントが開き、そこにOCR結果のテキストが表示されるこんなシーンでおすすめ手軽にオンラインでOCRしたい学校や会社でGoogle Workspaceを使っているなら、すぐ導入しやすい2. OneNote(Microsoft)特徴WindowsやOfficeユーザー向けのメモアプリ「OneNote」内にOCR機能があるPDFからは直接OCRできないが、画像として貼り付ければ文字認識可能手書き文字認識にもある程度対応している使い方OneNoteを開いて新しいページを作る画像ファイルを貼り付け(ドラッグ&ドロップ)画像の上で右クリック→「画像からテキストをコピー」クリップボードに文字がコピーされるこんなシーンでおすすめWindows環境をメインで使っているOffice 365(現Microsoft 365)を利用していて、追加のソフトを入れずにOCRをしたい3. Easy Screen OCR特徴画面上の一部をキャプチャして、そこに写る文字を認識してくれるソフトスクリーンショットを撮る感覚で、選択範囲内の文字をOCR日本語にも対応しており、操作がシンプル使い方ソフトをインストールし、起動するOCRしたい部分をマウスドラッグで範囲選択自動的に文字認識→コピー可能なテキストとして取得こんなシーンでおすすめWebサイトやシステム画面など、普通にはテキストコピーできないところから抜き出したいWindowsだけでなくMac版もある4. Capture2Text特徴Windows向けの軽量OCRツールショートカットキーで画面の一部をキャプチャ→文字認識ポータブル版もあり、インストール作業が簡単使い方Capture2Textを起動し、タスクトレイに常駐デフォルトは Win + Q などのキーを押しながら範囲をドラッグ→OCR結果がクリップボードへ設定ファイルで日本語のOCRエンジンを追加すると精度が上がるこんなシーンでおすすめキーボード操作に慣れていて、サクサク範囲選択で文字をコピーしたい軽く動作するものを探している5. Tesseract OCR特徴Googleが開発し、オープンソースで公開しているOCRエンジンコマンドラインツールだが、フロントエンドUI(サードパーティ製)も多数あり日本語辞書ファイルを追加すれば日本語OCRも可能使い方Tesseract本体と日本語対応の辞書ファイルをダウンロードコマンドプロンプト上で tesseract 画像ファイル 出力ファイル -l jpn のように実行文字認識結果がテキストファイルに出力こんなシーンでおすすめ少しプログラミングやコマンドラインが苦にならない方自分でOCRをカスタマイズしたい方(AI初心者から一歩踏み込みたい人向け)6. PDF Candy(オンライン)特徴ウェブブラウザでPDFファイルをアップロードし、文字認識→ダウンロード可能多機能なPDF編集ツールの一部としてOCRがある日本語にも対応(精度はそこそこ)使い方ブラウザで「PDF Candy OCR」を検索し、サイトを開くPDFをドラッグ&ドロップしてアップロード言語を日本語に設定してOCR開始ダウンロードした結果はテキストやドキュメント形式こんなシーンでおすすめアプリをインストールしたくないクラウド上で完結したいPDFが中心7. Online OCR特徴オンラインで画像ファイルやPDFを変換するサービスシンプルなインターフェースで無料利用可(制限あり)日本語も扱えるが、複雑なレイアウトだと精度が落ちる場合も使い方サイトにアクセス→画像やPDFをアップロード出力フォーマット(Word, Excel, Textなど)を選ぶ日本語を選択してOCR開始→結果をダウンロードこんなシーンでおすすめたまにOCRしたいだけで、インストールもしたくないシンプルな機能で十分8. Free OCR to Word特徴Windows用の無料ソフトPDFや画像を読み込み、Word形式(.doc)に変換オフラインで動作するので、機密ファイルも安心(ネットにアップしなくてOK)使い方ソフトをインストールし起動変換したいPDFや画像を読み込む日本語モードを設定(日本語対応データが必要な場合も)「Convert」ボタンでWord形式に変換こんなシーンでおすすめWord文書で編集したいPDFやスキャン文書が大量にあるオフラインで使用したい9. i2OCR(オンライン)特徴ブラウザ上で画像やPDFをアップロードし、テキストに変換文字言語を「Japanese」に設定すれば日本語OCR単純なレイアウトなら十分使いやすい使い方i2OCRサイトを開くファイルを選択 or URLを貼り付け言語をJapaneseにして「Convert」結果がページ上に表示され、テキストをコピーまたはダウンロードこんなシーンでおすすめ簡単な記事や白黒スキャンをテキスト化したい安直なレイアウト(縦書きや表組みが少ないもの)をサクッと認識10. SimpleOCR特徴Windows用フリーソフトとして古くから有名手書きOCRにも対応しているが、日本語の手書きは厳しいかも英文や印刷された日本語テキストの読み取りをメインに使い方ソフトをダウンロード・インストールスキャンした画像や既存の画像ファイルを読み込む日本語パックを追加インストールする必要がある(対応にやや手間がかかる)こんなシーンでおすすめWindows 7時代から存在する古いPCでも使いたいそこまで新しいUIを求めない、最低限の機能で十分という方11. OCRFeeder特徴Linux環境で人気のあるOCRフロントエンドTesseractやCuneiformなど別のOCRエンジンを組み合わせて使うPDFや画像の読み取りだけでなく、レイアウト編集機能もある使い方Linuxディストリビューション(Ubuntuなど)でパッケージ管理ソフトからインストールOCRエンジンを設定し、画像やPDFを読み込む文字認識結果をエディタ上で確認し、誤字修正こんなシーンでおすすめWindows/MacよりもLinuxメインのユーザーTesseractなどをGUI操作で使いたい12. Sejda PDF(オンライン)特徴オンラインでPDF編集を提供する多機能サービスPDFのページ削除、結合、OCRなど、さまざまなツールがまとめて使える日本語OCRにも対応しており、一度にアップロード可能なファイルサイズに制限あり使い方Sejda PDFサイトを開き、「OCR」ツールを選ぶPDFをドラッグ&ドロップ言語をJapaneseに設定し、「Recognize text」ボタンを押す処理完了後にダウンロードこんなシーンでおすすめオンラインでとにかくPDFを編集したいPDFの分割や結合と合わせてOCRもしたい13. Windows 10/11の「写真」アプリ(OneNote連携)特徴直接「写真」アプリだけでOCRできるわけではないが、OneNoteと連携して写真のテキストを抽出できる裏ワザMicrosoftアカウントがあれば同期機能を使えるすでにWindowsに入っている環境を利用するので追加インストールが少ない使い方「写真」アプリで画像を表示「共有」または「編集」からOneNoteへ送るOneNoteで先述の方法で「画像からテキストをコピー」こんなシーンでおすすめWindows標準のアプリだけでOCRを完結させたいOneNoteの設定が済んでいること前提14. Nanonets(無料プランあり)特徴AIを活用したクラウドOCRサービス「領収書」「請求書」「パスポート」など特定のフォーマットに特化したテンプレートも用意無料枠があるが、ページ数などに制限あり使い方サイトでアカウント登録テンプレートを選択or自分でカスタムモデルを作成PDFや画像をアップして解析→抽出されたテキストを確認こんなシーンでおすすめビジネス文書を自動的に分類・情報抽出したい(領収書の金額だけをピックアップなど)少し高度なAI OCR体験に興味があるが、まずは無料で試したい4. 実際に使う流れ(例:PDFから文字起こしするシナリオ)具体的な例として、「講義の資料がPDFで配布されたが、テキストをコピーして編集したい」というシナリオを挙げます。ファイルを準備PDFをパソコンに保存。ページ数が多いなら必要な箇所だけ切り出してもOK。OCRツールを選ぶたとえば「Google Drive」や「PDF Candy」を使う場合。アップロードorソフトに読み込むGoogle DriveにPDFを入れ、「Googleドキュメントで開く」を選択→自動的にOCRテキストの確認・修正誤認識(誤字など)をチェックし、必要があれば修正完成・応用Wordファイルに変換してレポートにまとめたり、他の資料と組み合わせて再編集これだけで、紙をスキャンしたPDFや、コピーできないセキュリティ設定のPDFでも、テキストとして扱えるようになるのがOCRの強みです。5. よくある質問(Q&A)Q1. 手書きノートをOCRするのは厳しくない?A. 手書き文字は印刷文字と比べて誤認識が多くなりがちです。文字がきれいに書かれている場合や、スマホ撮影時に鮮明な画像を用意すれば成功率が上がります。OneNoteやGoogle Driveなどがある程度対応しますが、漢字の崩れた筆記体などは難しいかもしれません。Q2. わざわざソフトを入れなくても、スマホアプリでOK?A. スマホアプリのOCRもたくさんあります。「Adobe Scan」や「Microsoft Lens」などはスキャン+OCR機能を備えており、手軽に使えます。PCでPDFを扱う機会が多い人は、デスクトップ版が便利かもしれません。Q3. 完璧に変換してくれる?A. 100%完璧は難しいです。印刷状態やフォント、レイアウトが複雑だと誤字が混じるので、最終的には目視チェックが必要。特に縦書きの日本語や表組みがある書類では、レイアウトが崩れる可能性が高いです。Q4. 有料ソフトのほうがいい?A. 有料ソフトの中には高度なレイアウト解析や高精度エンジンを持つものもあります。本格的な業務用途や大量のOCR処理を行うなら検討する価値がありますが、個人や小規模利用ならフリーソフトでも十分なケースが多いでしょう。6. OCR利用で気をつけたいこと個人情報・機密情報の扱いオンラインサービスにアップロードする場合、そのデータがどう扱われるか利用規約を確認。著作権本などの印刷物をOCRする際、その内容を公開すると著作権侵害になる可能性がある。私的利用の範囲にとどめましょう。誤認識のチェック特に長い文章や数字列は、一部間違いが紛れ込んでいないか注意深く確認する。7. まとめ:OCRで作業効率をアップしよう今回紹介した14のフリーOCRツールはいずれも特徴が違い、オンライン、オフライン、画像キャプチャ専用、PDF専用など多様な形で提供されています。自分がどんな書類を扱いたいのか、どの程度の精度や機能が必要かなどを考えながら、一度試してみるのがおすすめです。たとえば、GoogleDriveGoogle DriveGoogleDriveやOneNoteOneNoteOneNoteなど既に使っているサービスを活用すれば、簡単なOCRはすぐできるもっと柔軟に画像の一部分だけ抜き出したいなら、EasyScreenOCREasy Screen OCREasyScreenOCRやCapture2TextCapture2TextCapture2Textが便利オンラインでPDFをサクッと処理したいなら、PDFCandyPDF CandyPDFCandyやSejdaPDFSejda PDFSejdaPDF、OnlineOCROnline OCROnlineOCRなどを試すLinuxやプログラミングに興味があれば、TesseractTesseractTesseractやOCRFeederOCRFeederOCRFeederでカスタマイズして遊べるさらに、AI技術が進化するにつれ、OCRの精度や機能も向上し、「手書き文字でもかなり正確」「レイアウトを保持したままWordファイル化」などの未来が期待できます。少し前までは、紙の書類をデータ化するのに大変な思いをしてきた人にとって、OCRは本当に助け舟となる技術です。まとめると…OCRで紙やPDFの文字をテキスト化すると、編集・検索が自由にできるようになる無料でも優秀なソフトやオンラインサービスが豊富にある縦書きやレイアウトの複雑な文書、手書き文字では誤認識が増えるが、そこを理解して使えば作業効率アップ大量の文書を扱う業務や、学習や研究においてもOCRが大活躍あなたがもし、「もう紙や画像から文字打ち直すのは面倒!」「PDFの中身をコピペしたい!」と感じているなら、一度フリーOCRソフトを試してみてはいかがでしょうか。今回の14選のどれか一つでも使い始めれば、作業の手間や時間が大幅に削減でき、デジタルの恩恵を受けられるはずです。ぜひ、今日からOCRを活用して、効率的な書類管理や情報収集を始めましょう!